コラム

COLUMN

2025.12.26 看護師

『シックデイ』 ・・・体調を崩した日の対応

寒さが厳しくなり、感染症などで体調を崩していないでしょうか?
今回は糖尿病のある人が体調を崩した時の対応について解説をします。

糖尿病のある人が体調を崩した日。『シックデイ』にご注意!

糖尿病のある人が感染症などをきっかけに体調を崩し、血糖コントロールが乱れてしまう日のことを「シックデイ(Sick day)」といいます。具体的には以下の症状などがある時です。

症状の一例

‣ 38度以上の発熱が続いている

‣ 食欲がない、または食事を全く摂れない

‣ 腹痛、吐き気、おう吐、下痢などの消化器症状がある

感染症や外傷のある時、身体の中ではストレスに対抗しようと血糖値を上げるホルモンが分泌されます(コルチゾール、アドレナリンなど)。一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンの1種類のみです。このためインスリンの効きが悪くなっている(または分泌されていない)糖尿病の患者さんは、シックデイに血糖値が普段より高くなりやすいため注意が必要です。普段は血糖値のコントロールが良い人でもシックデイには血糖値が乱れてしまう場合があります。

また、シックデイの時に食事(糖質)や水分が摂れないと、状況がさらに悪化して入院が必要となる場合があります。高齢者や普段から血糖値が高い人、糖尿病の合併症が進行している人などは特に注意を要します。

シックデイの基本的対応

① 身体を暖かくして安静にしよう

② 絶食状態を避け、消化に良いものを食べよう

‣ 食事は消化に良く、エネルギー源として重要な糖質が含まれているものを選びましょう。
(例:お粥、雑炊、うどんなど)
‣ 汁物は水分・ミネラルの補給に適しています。
(例:野菜スープ、みそ汁など)
‣ どうしても食べられない時は、口当たりの良いものを少しでも食べましょう。
(例:果物、アイス、プリンなど)

③ 脱水を防ごう

‣  水分補給は基本的に水か麦茶が適しています。一日合計1000~1500mlを目安にこまめに飲みましょう。
‣ 水分補給のためにジュースやスポーツドリンクを大量に飲むことはしないでください。経口補水液「OS-1」にも糖分が含まれているため、積極的な摂取は控えてください。

④ インスリン注射をしている人は注射をやめない/血糖値を測ろう

‣ インスリン注射をしている人は、シックデイに自己判断で中止しないでください。なるべく早めに病院を受診しましょう。
‣ また、血糖測定器を持っている人は3~4時間ごとに(または症状に応じて適宜)血糖値を測るようにしましょう。

⑤ 早めに病院を受診しよう

‣  持っている人は糖尿病連携手帳やお薬手帳、血糖測定器(測定ノート)を病院に持参しましょう。自身の症状を伝え、シックデイに調整する薬剤があれば医師に相談しましょう。

終わりに

名古屋市ホームページによると、2025年10月末~11月頃からインフルエンザ患者数が増加し始め、例年より早く感染拡大しました。現在は市内の定点医療機関あたりのインフルエンザ患者報告数は減少傾向となっているものの、依然として「警報レベル」にあたる30人を上回っており、引き続き注意が必要です。他にも冬にはノロウイルスによる感染性胃腸炎や新型コロナウイルス感染症などの感染症が流行しやすく、感染症の対策をしましょう。

皆さんが健康に年越しを過ごせますよう、願っています。